第6回 WindowsのようなLinux
この2年で、Linuxのデスクトップをめぐる環境は非常に大きく変化しました。なにが変わったかと言えば「LinuxがWindowsのようになった」ということに尽きます。
部分的に見ればWindowsをしのぐところさえあります。また、Windowsから見ればまだ貧弱なところも、あります。しかし、平均すると「Windowsのようになった」と言っても良いのではないか、と私は思っています。
この変化を作り出したのは「Ubuntu(ウブントゥ)」という比較的新しく出現したLinuxのディストリビューションです。Linuxはもともとが「オープンソース」という無料で誰でもが使ったり、作り直したりできるソフトウエアの1つです。しかし、無料なのはその「部品」としてのソフトウエアであって、Windowsなどのように「まとまった製品」としたものは「ディトリビューション」と呼ばれており、これは有料のものも多いのです。そして、Ubuntuもそのディトリビューションの1つです。しかもUbuntuは無料で配布されています。
Ubuntuは2004年に最初のバージョンが出ました。しかし、その後開発が続けられ、半年ごとに定期的にバージョンアップをする、というスタイルがとられています。そして、いまこの時点では「9.04」というバージョンが出ています。この「9.04」というのは、「2009年の4月のバージョン」という意味です。
そしていま、このUbuntuというLinuxは、世界中の多くの人たちがインストールしています。なぜかと言うと、「使いやすい」からです。なぜ使いやすいかというと、それがWindowsやMacなど、現在よくPCのデスクトップとして使われているOSに非常に似ているからです。
このUbuntuは「無料」で配布されています。UbuntuのファイルをUbuntuのホームページからダウンロードし、そのままCD-Rのライティングソフトウエアを使ってCD-Rに焼きます。そして、PCをそのCDから立ち上げると、Ubuntuが動き出します。このときは「ライブ」と言われ、要するに「お試し」で動いている状態です。そして動いたUbuntuから「インストール」を選ぶと、本格的にUbuntuがハードディスクにインストールされます。そのさい、これまでのWindowsをハードディスクに残すこともできます。そのときは、PC立ち上げのさい、WindowsとUbuntuのどちらかを選ぶメニュー画面が表示されます。
動き始めたUbuntuには、既に「OpenOffice.org」というオフィスソフトウエアも無料で付属しています。この無料のソフトウエアには、ワードプロセッサ、表計算、プレゼンテーションが含まれ、それぞれに対応したMicrosoft社のOfficeのファイルを読み書きできます。また、これまでのWindowsなどのOSがそうであるように、有線LAN、無線LANなどもまずほとんどのPCですぐに動き始めます。ブラウザも世界で第二のシェアを持つ「FireFox」がインストールされており、その場で使い始めることができます。もちろん標準でメールの読み書きができるソフトウエアも付属しています。他にもBlueTooth用のソフトウエアはじめ、多くの便利なソフトウエアが付属しています。
また、Ubuntu用のIP電話、SkypeはSkypeのホームページから無料でダウンロードできます。これもインストールが非常に簡単にできます。
つまり、Ubuntuはまさに「WindowsのようなLinux」である、と言っても良いでしょう。
オフィス、ブラウザ、メール、プレゼンテーション、そしてSkype。これだけで十分、という方は非常に多いのではないでしょうか。そういう方であれば、無料のUbuntu-Linuxのほうが、「安く済む」ということになります。私も、昨年からこのUbuntuを自分が普段持って歩くPCにインストールして使っています。もちろんWindowsも残してあるのですが、最近はWindowsを立ち上げることはほとんどなくなりました。
いま、じわじわと世界をLinuxが席巻しつつあります。携帯電話やネット家電などの組み込み機器の世界、銀行のシステムなどのエンタープライズコンピューティングの世界、そしていま、デスクトップの世界でもLinuxが普及し始めています。この世界の流れは、止められないと、私は思います。
同じことができるのであれば、高いものより安いもののほうがいい。
水は高いところから低いところに流れるのです。
エンゼル証券グループ 三田 典玄
|